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『今日の芸術』1954年刊行の岡本太郎の名著は令和でも生きているのか?

更新日:

 

結論、生きています。

 

こちらの写真をご覧ください。

 

 

 

私の持っている『今日の芸術』なのですが、解説等を含めた全259ページのそれほど厚くない文庫本に33枚の付箋が貼ってあります。

そう、『今日の芸術』は、1954年刊行の65歳にもかかわらず、現役バリバリの我が愛読書なのです。

 

この記事では『今日の芸術』の魅力を語ってみます。

岡本太郎の著書を何冊も読んだ筆者ですが、やっぱり『今日の芸術』は秀逸だと思います。

ぜひお付き合いくださいませ。

 

 

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概要

 

まずはざっと『今日の芸術』をご紹介します。

単なる情報で読まなくても支障はないので、飛ばしてもOKです。

 

今日の芸術 時代を創造するものは誰か

岡本太郎

光文社知恵の森文庫 1999年初版

もともと光文社から1954年に刊行され、一旦絶版になった書籍でしたが、横尾忠則氏の要望で(?)復活したという経緯があります。

(知恵の森文庫版序文による)

 

構成はざっくりと下記の通り。

 

第1章 なぜ、芸術があるのか

・生きるよろこび

・芸術の見方―あなたには先入観がある

第2章 わからないということ

・「八の字」文化

・わからない絵の魅力

・鑑賞と創造の追っかけっこ

第3章 新しいということは、何か

・新しいという言葉

・芸術はつねに新しい

・新しいものへのひがみ

・近代文化の世界性

・アヴァンギャルドとモダニズム

第4章 芸術の価値転換

・芸術はここちよくあってはならない

・芸術はいやったらしい

・芸術は「きれい」であってはならない

・芸術は「うまく」あってはいけない

第5章 絵はすべての人の創るもの

・見ることは、創ることでもある

・昔、絵は見るものではなかった

・下手な絵描きたち

・名人芸のいらない時代

・だれでも描けるし、描かねばならない

・自由の実験室

・子どもと絵

第6章 われわれの土台はどうか

・日本文化の特殊性

・芸術と芸ごと

・日本的モラル

 

 

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魅力的な5つのポイント

 

さて。

『今日の芸術』のどこがそんなにも魅力的なのでしょうか。

ポイントはたくさんありますが5つに絞ってみます。

 

諸著書の内容が凝縮されている

まずこれ?と思われるかもしれませんが、重要なポイントかと。

いかんせん岡本太郎の著書は多いのです。

ざっと並べてみますが……

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太郎著ではなく関連書籍も合わせるととんでもないことになります。

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これはほんの一部です。

※ 筆者は全部読んでいます

 

そんな膨大な著書がある岡本太郎ですが、その中から一冊だけ選べと言われたら『今日の芸術』を選択します。

なぜなら他の著書のエッセンスが凝縮されているからです。

 

例えば『日本の伝統』

銀閣寺庭園をガチで語っていたり、縄文土器への愛を噴出させていたりと、もちろん代替不能な名著ですが、エッセンスは『今日の芸術』にも散りばめられています。

 

あるいは『美しく怒れ』

切符を買って電車に乗る行為を批判したりと、こちらも言わずもがな代替不能な名著ですが、主張は『今日の芸術』にも入っています。

 

岡本太郎の思想に興味があれば、まず『今日の芸術』を読んでおく。

あるいは岡本太郎の思想を振り返るとき、とりあえず『今日の芸術』を読み返す。

そんな位置づけにある著書なのです。

 

ためらいなく断定する力強さ

岡本太郎の著書が病みつきになるのは、鋭い言葉できっぱりと主張してくれる点にもあります。

 

有名な

芸術は『きれい』であってはならない

 

あるいは

芸術は、絶対に新しくなければなりません

 

スパっと言い切ります。

 

「○○という場合もあるかもしれませんし○○という例外もあるかもしれませんが○○ということではありませんかどうでしょう?」

なんてまどろっこしい表現はしません。

 

なぜこんな表現ができるのか。

理由は、岡本太郎が『今日の芸術』を書いた目的が「文化を盛り上げること」にあるからです。

 

初版の序にはこうあります。

私はこの本を、古い日本の不明朗な雰囲気をひっくり返し、創造的な今日の文化を打ち立てるポイントにしたいと思います。

<中略>

そして明朗に、積極的に、おたがいの力でこれらの文化をもりたててゆきましょう。

 

主張することが議論を呼び、それが文化の醸成につながる。

この考えが根底にあるため、紛らわしい言葉を使わずに、反論も恐れずむしろ歓迎するかのように、スパっと言い切ってくれるのです。

 

難解な表現が皆無で読みやすい

全然、難しくない。

これがどんなにありがたいことでしょうか笑

どれだけ思想が優れていても表現が難しすぎて伝わらなければ本末転倒ですが、そんな書籍がいかに多いことか……

 

岡本太郎は『今日の芸術』を、一部のマニアックな美術専門家だけではなく、広く一般に行き渡らせたいと考えました。

そのためには誰でも読める表現は必須です。

 

時代を超えても生き続ける普遍性

確かに岡本太郎は「今日」、つまり1954年頃の情勢を念頭に置いてはいます。

その点、現代に100%当てはまるとは言い切れない部分もあります。

ですが、岡本太郎が『今日の芸術』で伝えたかったのは、「今日」の分析ではなくて、目指すべきあるべき人間の姿、文化のあり方という目標なのです。

 

その目標は、長い人類の歴史を踏まえて導き出されています。

65年やそこらで色褪せるようなものではありません。

 

敏感で、強く、自由な岡本太郎の人間性

ここが肝ですね。

 

岡本太郎は、不当なことに対して敏感です。

それでいて尊厳を踏みにじるものに徹底してNonを突き付ける力強さがあります。

なのにのびのびと自由

 

そんな人、なかなかいません。

 

敏感だと脆くなって委縮しやすい。

強ければ頑なになって狭くなってしまいやすい。

のびのび自由だと鈍感になりやすい。

この「○○になりやすい」を打ち破る稀有な存在が岡本太郎なのです。

 

だから、面白い。

敏感に世の中の不当を察知し、自由な発想をもって、力強く主張する。

だから面白いのです。

 

 

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まとめ まだ生きている

 

長くなってきたのでそろそろまとめます。

 

世に出て65年にもなる著作ですが、まだ健在、生きています。

岡本太郎という傑出した存在が、渾身の力を込めて送り出した名著『今日の芸術』は、これからも私、私たちの道しるべとして輝いていてくれるでしょう。

 

以上、最後までお読みいただきありがとうございました♪

 

 

岡本太郎入門 強く激しく繊細で誠実な「人間」の世界にあなたを誘いたい

 

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