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世紀末美術 19世紀末に現れた美術は、人の心や見えないものを表現していました

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美術の世界にとって、「世紀末」19世紀末頃を示す固有名詞です。

 

それまでの絵画が受胎告知、ヴィーナスの誕生など、具体的なことがらを表現したのに対し、世紀末美術では、人の心や目に見えない抽象的な概念を表現しようとしました。

 

この記事では、独特の世界観をもつ「世紀末美術」の概要をご紹介します。

 

ちょっと不気味、でも目が離せない。

そんな気になる作品たちに注目してみましょう!

 

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代表的な作品のご紹介

 

まずは世紀末美術の代表作をご紹介します。

ギャラリー形式になっているので、気になる作品はクリックして拡大してみてください。

 

 

 

世紀末美術の特徴

 

世紀末美術の特徴には大きく2つあります。

象徴主義特殊な主題です。

 

 

象徴主義とは

 

象徴主義の特徴は、人間の心などの目に見えないものを、絵画として目に見えるようにした点にあります。

 

これまでの絵画は、目に見えるものをカンバスに描いていました。

 

たとえば、印象派

印象派は象徴様式とだいたい同じ時期にあらわれた一派です。

 

1899年 モネ
睡蓮の池、緑のハーモニー

 

当時、印象派は最先端の美術として扱われていました。

ですが、印象派の画家たちが大切にしたのは、目に見えた風景の一瞬をそのままカンバスで再現すること。

この点に限れば、従来の絵画と方向性は同じだったと言えます。

 

象徴主義は違います。

 

たとえばバーン・ジョーンズ(1833-1898年)の「黄金階段」。

 

バーン・ジョーンズ
黄金階段

 

階段と女性たちが描かれているのは明確です。

でも、キリスト教の一場面でもないこの画面で、階段と女性に一体何の意味があるのでしょうか

 

バーン・ジョーンズはこの作品について

「見る人なりに理解してほしい」

(新潮社『世紀末美術』より引用)

とだけコメントしています。

 

つまり、作品を見た人の中で湧き上がった感情、思想などが主役、ということです。

その主役が、曖昧に、不確実に、暗示されるのが象徴主義です。

 

 

特殊な主題

 

世紀末美術では、死や苦悩、運命などが主題に選ばれました。

暗いイメージです。

 

愛や生が主題の作品もあります。

ですが、死や破滅がもれなくついてきます

 

死につながる生。

破滅に至る愛。

屈折して悲観的で、抽象的。

 

それが世紀末美術の主題の特徴です。

 

エゴン・シーレ(1890~1918年)の「死と乙女」を例に挙げましょう。

 

1915~16年
エゴン・シーレ
死と乙女

 

抱擁しあう2人は、おそらく愛し合っています。

ですが、この愛からは、単純な幸福感や明るい未来は想像できませんね。

 

 

世紀末美術が流行した19世紀末とは

 

印象派の流行とほぼ同時代

 

先ほども書いたとおり、19世紀後半には印象派が流行しました。

 

印象派の父エドゥアール・マネ(1832~1883年)が「草上の昼食」を発表したのが1863年。

第1回印象派展が開催されたのが1874年。

最後となる第8回印象派展が開かれたのは1886年のことでした。

 

バーン・ジョーンズが「黄金階段」を制作したのが1876~1880年。

クノップフが「芸術(愛撫もしくはスフィンクス)」を発表したのが1896年。

主題も画風も正反対ともいえるこのふたつの絵画様式が、ほぼ同時期に流行したのです。

 

 

世紀末美術の背景

 

ではなぜ、19世紀末にこのような不気味な絵画が流行したのでしょうか。

その背景を探ってみましょう。

 

19世紀末のヨーロッパは、繁栄を謳歌した時代にありました。

産業革命で工業が発達し、植民地の拡大に成功し、暮らしは日々豊かになっていました。

 

我々はこれから進歩し続けていくに違いない。

 

そんな楽観的な雰囲気がありました。

 

ですが、豊かな時代がいつまで続くのだろうかこの物質的な変化は我々を本当に豊かにするのだろうか、と疑問を抱く人々も出てきます。

社会の変化を見つめ、内省し、不安を感じた人々がたどり着いた思想のひとつが、世紀末美術だったのです。

 

 

関連事項

 

ラファエル前派の軌跡展が開催予定

 

ラファエル前派は、イギリスで発症したグループです。

世紀末美術の特徴の一つ「象徴主義」を始めたのがラファエル前派とされています。

 

2019年3月14日から6月9日まで、東京・丸の内の三菱一号館美術館で「ラファエル前派の軌跡展」が開催予定です。

世紀末に活躍したロセッティやミレーらの作品にお目にかかることができそうなので、ぜひ行きたい企画展ですね。

 

公式ホームページ https://mimt.jp/ppr/

 

関連記事・書籍

 

最近話題の米津玄師。

紅白歌合戦での『Lemon』は圧巻でしたね。

この記事では、『Lemon』が世紀末美術と似ているな、という直感を深堀りしています。

 

象徴主義のはじまりラファエル前派についてはこちらの記事で解説しています。

 

2019年の注目企画展はこちらの記事でご紹介しています。

もちろんラファエル前派の軌跡展も掲載していますよ。

 

 

こちらの書籍は、世紀末美術を分かりやすく解説してくれています。

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印刷もきれいで、本自体が小さいわりには図版が大きいのもありがたいところです。

世紀末美術に興味がわいたら手に取ってみたい1冊です。

 

 

以上、最後までお付き合いいただきありがとうございました♪

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