作家

東山魁夷 皇居の大壁画も描いた日本絵画界の巨匠を分かりやすく解説!

更新日:

【2019/1/5更新】

 

東山魁夷は近代の日本画壇を代表する風景画家です。

戦時と戦後の日本を生き、従軍も経験し、諸国を旅し、絵画表現をストイックに追求しました

 

2018年には京都と東京で大回顧展が開かれ、注目されましたね。

 

この記事では、東山魁夷について、作品と生涯をからめながらご紹介いたします。

 

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東山魁夷の作品

 

まずは東山魁夷の描いた作品を何点かご紹介します。

 

 

郷愁(1948年)

 

 

魁夷は

「人間同士の心は互いに通じ合えるものである以上、私の風景は私達の風景となり得る」(『日本の美を求めて』講談社 1976年より抜粋)

という言葉を残しています。

 

『郷愁』で魁夷は、故郷に対して感じる普遍的な情感を風景画として描いたのです。

 

 

雪降る(1961年)

 

 

しんしんと降る雪の中に、葉を落とした樹と茂らせている樹、そして真っすぐに流れる川が描かれています。

 

冬の凍てつくような厳しい寒さと、雪に音が吸い込まれているような静けさの中で、樹は生き、川は流れ、雪がゆっくり降りている。

この作品から伝わるのは「死」でも「止」でもなく、確固とした「生」と「動」なのです。

 

花明り(1968年)

 

 

京都円山公園の枝垂れ桜と、東山に昇る満月を描いた作品です。

見事に咲き誇った満開の枝垂れ桜と、暗闇を照らす満月。

古来日本人が美しいと感じてきた主題を描くことで、普遍的な美を自らの手で自分らしく表現しようとしました。

 

朝明けの潮(1968年)

 

 

皇居の長和殿に描かれた大壁画です。

周囲を海で囲まれている日本を象徴するに相応しい題材として、魁夷は海を選びました。

皇居を飾るに相応しく煌びやかであるように、金やプラチナをふんだんに用い、格調高い装飾的な壁画に仕上がっています。

 

若葉の季節(1972年)

 

 

魁夷は、白い馬が1頭描かれている風景画を、習作含めて19点作成しました。

この作品はその一つで、木々が芽吹く生命の息吹を表現しています。

魁夷は白馬について「祈りの象徴である」と語ったとされています。

 

 

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東山魁夷の生涯概略

 

東山魁夷の作品をいくつか見ていただいたので、魁夷の解説に入ります。

 

魁夷は、1908年に横浜市で生まれました。

 

魁夷は日本中のみならず世界各国をもわたり歩いた画家でした。

 

まずは3歳の時、生まれた横浜を離れ神戸に転居

18歳になると東京美術学校(現在の東京藝術大学)に入学するために東京へ移ります

1933年、東京美術学校研究科を終了した25歳の魁夷は、ドイツ留学に旅立ちました。

 

ドイツでの約2年半は、収穫の多い経験でした。

描画においてだけでなく、美術史を学べたことは大きな成果のひとつです。

美術史で学んだことは、のちの画業へ大きな影響を与えました。

 

帰国した魁夷は、精力的に作品を世に送り出していきます。

そんな中、始まったのが第2次世界大戦

1945年に魁夷は岐阜へ疎開しますが、ほどなく徴兵されて熊本へ送られてしまいました

 

終戦後、魁夷は制作に励み、いつの間にか流行作家と呼ばれるようになります。

しかし、あまりの人気ぶりに多忙になり、どこか遠くで静かに絵を描きたいと思うようになりました。

 

遠くで静かな場所。

魁夷は北欧を選びました。

 

1962年、54歳の魁夷は北欧へ旅立ちます。

北欧での絵画制作は順調そのもので、厳しい寒さの中で凛と生きる生命や自然を描くという画風が表に出てきます。

 

帰国後は京都に移り、消えゆく古き良き都の姿を熱心に描き留めました。

 

その後、中国に滞在したりドイツへ再び渡ったりと、転々としながらも、今日まで伝わる名作の数々を創り出しました。

 

魁夷は1999年、90歳で逝去しました。

 

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東山魁夷の魅力はどこにあるのか

 

圧倒的に多い風景画の名作

 

山、樹、湖……

色調が抑えられ、静かで重厚感のある独特の風景画が魁夷の作品の特徴です。

 

風景画を主に描こうと意図したのは、魁夷が39歳の時でした。

千葉県の鹿野山の山頂から沈む夕日を眺めていた時、自分も自然も一体となり、変わりゆく世界に溶け込んでゆく感覚に陥った時、心が定まったと言います。

 

従軍で死を間近にした経験。

父母兄弟を全て亡くした経験。

東京美術学校時代の登山での経験。

 

それら魁夷が経験した全てが風景画に結びついた瞬間だったのです。

 

魁夷の名作には、圧倒的に風景画が多く見られます。

それはおそらく、こうした経験に由来するのでしょう。

 

 

 

北国への親しみ

 

魁夷は風景画を主に描いてきましたが、なかでも北国の深々とした冬景色に魅力が詰まっています

 

ここでいう「北国」とは、若き頃留学したドイツなどであり、イタリアなどの「南国」と対にあるものでした。

 

先述したように、魁夷は留学先のドイツで美術史を学びました。

当時のドイツでの美術史においては、ヨーロッパ美術を北と南に区分して論じる風潮があり、魁夷はこの影響を大いに受けます。

 

「南」は朗らかで開放的で、明るく華やか。

一方の「北」は静かで暗く、内省的であり、厳しい自然風土に耐えて生き抜く強い生命力を秘めたものでした。

 

魁夷は、静けさの中に秘めた力強い生命力に、自らの画風を見出したのです。

 

 

 

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どれか1冊選ぶなら、やっぱり青でしょうか。

悩ましいところです。

 

 

以上、最後までお付き合いいただきありがとうございました♪

 

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