作家紹介

ヤン・ファン・エイク 西洋細密画の傑作は15世紀フランドルにあり!

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ヤン・ファン・エイク(1395年頃~1441年)は、現在のベルギー近辺で活躍した画家です。

生涯や人物像に謎が多いものの、ため息が出るほどに美しい絵画が現在にも確固と伝わっていて、一部美術ファンからの熱烈な支持を受けている人物です。

 

お察しの通り私もその「一部」でして、好きな西洋画家を3人選べと言われたら絶対に挙げるであろう画家は間違いなくヤン・ファン・エイクです

 

この記事では、美しい作品の図版をご紹介しながら、ヤン・ファン・エイク作品の魅力をお伝えします。

人物像がよく分かっていない画家なので、作品を中心に解説しますね。

 

※ 画像を極力大きく載せたかったので、申し訳ないのですが読み込みが遅かったりするかもしれません

 

 

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代表作品

 

まずは代表作をご覧ください。

ヤン・ファン・エイクの作品は20点程しか残っていませんが、その中から厳選して6点掲載します。

 

1436年
ファン・デル・パーレの聖母子
フルーニンゲ美術館(ベルギー ブルージュ)

 

1434年
アルノルフィーニ夫妻の肖像
ロンドン ナショナル・ギャラリー

 

1435年
宰相ロランの聖母子
ルーヴル美術館

 

1432年
ゲント祭壇画
聖バーフ大聖堂(ベルギー ゲント)

 

1420~1440年頃
聖痕を受ける聖フランチェスコ
フィラデルフィア美術館

 

1434~1436年頃
受胎告知
ワシントン ナショナル・ギャラリー

 

 

いかがでしょうか。

細かすぎてよく分からない、かもしれませんね。

これから細部まで見ていきましょう。

 

 

作品鑑賞のポイント

 

虫メガネが必要なくらいの細密描写

 

ヤン・ファン・エイクの作品は、とにかく細かな描写が特徴です。

 

たとえばゲント祭壇画」

 

1432年
ゲント祭壇画
聖バーフ大聖堂(ベルギー ゲント)

 

上段中央にいる赤い服の人物を拡大してみましょう。

 

 

「父なる神」が描かれています。

 

さらに部分的に拡大します。

 

 

 

透明な水晶の錫(しゃく)の透明感まで見事に描ききっています。

たくさんのハイライトの白が眩しいこと……。

 

上段中心の左にいる青い服の人物も拡大してみましょう。

 

 

聖母マリアですね。

更に拡大。

 

 

ただ細かいだけではなくて、美しいですね。

 

宝石のきらめき。

髪の豊かさ。

うっとりしてしまいます。

 

これぞ、ヤン・ファン・エイク。

 

 

意外なところでドラマが展開

 

細密描写があるからこそできるのですが、ヤン・ファン・エイクの作品では、主人公とは別に意外なところでドラマが起こっていたりします

 

たとえば「宰相ロランの聖母子」

 

1435年
宰相ロランの聖母子
ルーヴル美術館

 

拡大して……

 

 

 

後景に注目しながら更に拡大して……

 

 

もうちょっと拡大……

なんと火事が起きています!!!

 

 

この火事が発見されたのは20世紀のこと。

完成後500年以上経ってからです。

眩暈がしますね。

 

 

意外なところに映り込み

 

細密描写は「映り込み」にもなされます。

鏡は分かりやすい例ですね。

 

たとえば「アルノルフィーニ夫妻の肖像」で描かれている壁にかかった鏡。

 

1434年
アルノルフィーニ夫妻の肖像
ロンドン ナショナル・ギャラリー

 

 

夫妻の後ろ姿と、その前に立っている2人の人物が映り込んでいます

 

 

分かりにくい例もたくさんありますよ。

たとえば、金属の甲冑に謎の人物がこっそりと映っている様子が描かれていたりするのです。

 

「ファン・デル・パーレの聖母子」は、分からないと思います。

 

1436年
ファン・デル・パーレの聖母子
フルーニンゲ美術館(ベルギー ブリュージュ)

 

右に立っている人物にご注目。

 

 

肩のあたりを拡大すると……

 

 

うっすらと、青い衣服の人物……?

 

この人物が発見されたのは1954年。

作品の完成から520年後です。

 

未発見の「映り込み」は途方もないくらいたくさんあるのでしょうね。

 

 

プライドの象徴、君主からの重用の証

 

これだけの作品を描いているわけですから、ヤン・ファン・エイクは作品制作に全力を尽くしていたのでしょう。

その象徴が、作品に記された「ALS IK KAN」という文字。

 

ALS IK KAN

 

「私ができる限り」を意味するこの言葉からは、全身全霊をもって作品制作にあたった自負が伺えますね。

 

 

そして、単なる自負だけでなく、周囲からも突出した人物だと認められていた痕跡があります。

それがフィリップ善良公の手紙の一文

 

ヤン・ファン・エイクは宮廷画家としてフィリップ善良公に仕えました。

この主君が、手紙でヤン・ファン・エイクをこう記述しています。

 

引用

……(中略)ヤンほど好みに合う者も、ヤンほど技量と学識に秀でた者もほかにはいない

(『西洋絵画の巨匠 ファン・エイク』より引用)

 

作品に記し残すくらい全力を傾けたと自負していて、かつ周囲からも認められていた。

格好いいですね!

 

 

実物が、一番。

 

私がヤン・ファン・エイクの本物を初めて見たときの衝撃は、10年以上経った今も忘れられません。

初めての作品は、ロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵の「アルノルフィーニ夫妻の肖像」。

 

1434年
アルノルフィーニ夫妻の肖像
ロンドン ナショナル・ギャラリー

 

それまで安価な美術書で粗く小さな図版でしか見たことがなく、なんとなく不気味なイメージすらあったこの作品。

本物は光り輝いていました。

 

神聖な夫妻。

繊細な装飾具。

静謐な空間。

 

何もかもが整っていて、完成されていて、煌めいていて、ただただ美しかったのです。

 

ヤン・ファン・エイクの作品の美しさは、やはり実物を見ないと伝わらない部分があると思います。

もしこれから海外に行く予定のある方は、ヤン・ファン・エイク鑑賞を旅程に組み込んでみてはいかがでしょうか。

強く、強く、おすすめします。

 

ただ、国内で楽しみたい、のでしたら、こちらの画集ならおすすめできます。

 

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「はじめに」の章で著者の元木幸一氏が

『本書はヤンの世界を細部図版を多数掲載して、何よりもまず目で楽しんでいただくことを意図している。』

と語っていて、この言葉にこの画集の本旨が凝縮されています。

本物に近い感覚で、ヤン・ファン・エイクの傑作たちを鑑賞できるのです。

 

もちろん、愛にあふれた分かりやすい解説もありがたいポイント。

この画集なら、国内で最高の満足が得られると思います。

 

ちなみに、元木幸一氏を虜にしたヤン・ファン・エイク作品は、ワシントン・ナショナル・ギャラリーの『受胎告知』の天使だそうです。

 

1434~1436年頃
受胎告知
ワシントン ナショナル・ギャラリー

 

左の赤い服の天使を拡大します。

 

 

ううむ、確かにいい!

 

 

まとめ 美しい、だけじゃない

 

緻密な描写で美しい作品を描いたヤン・ファン・エイク。

後景に火事を描いてしまうような遊び心も含めて、魅力がお伝えできたとしたら幸いです。

 

以上、最後までお付き合いいただきありがとうございました♪

 

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